つみたて投資枠の銘柄選び — 信託報酬・純資産・指数の選び方(2026 年版)
新 NISA の「つみたて投資枠」(年 120 万円)は、金融庁が選定した約 250 本の長期分散投資向け投信から選びます。本数は多いものの、選び方の原則は「信託報酬 + 純資産総額 + 何に投資するか」の 3 点で 9 割決まります。本記事ではつみたて投資枠の銘柄選びを整理します。
銘柄選びの 3 つの原則
① 信託報酬は年 0.2% 以下を目安に
信託報酬は 保有している間ずっと 純資産から差し引かれる手数料。同じ指数に連動するファンドでも、信託報酬が 0.1% と 1% では 30 年後の資産に大きな差 がつきます。
| 信託報酬 | 30 年後(毎月 3 万円積立、年 5% 想定) |
|---|---|
| 年 0.1% | 約 2,470 万円 |
| 年 0.5% | 約 2,330 万円 |
| 年 1.0% | 約 2,170 万円 |
インデックス型なら年 0.2% 以下、できれば 0.1% 以下 が選択肢。アクティブ型(年 1〜2%)は長期ではインデックスに劣後しやすいため、つみたて投資枠ではほぼ非推奨です。
② 純資産総額 100 億円以上を目安に
純資産総額が小さい(数億円程度)ファンドは、繰上償還(運用打ち切り)リスクがあります。償還されると保有資産は強制売却・現金化され、長期運用が中断されます。
純資産総額 100 億円以上、できれば 1,000 億円以上のメジャーなファンドを選ぶのが安全です。
③ 何に投資するか(指数選び)
つみたて投資枠の中心は インデックス型投信。連動する指数で性質が大きく変わります。
| 指数カテゴリ | 代表指数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 全世界株式 | MSCI ACWI、FTSE 全世界 | 47 カ国に分散。米国比重 6 割程度 |
| 米国株式 | S&P500、CRSP US Total Market | 米国 500〜4,000 社。集中度高め |
| 先進国株式 | MSCI コクサイ | 日本を除く先進国 22 カ国 |
| 新興国株式 | MSCI EM | 中国・インド等。リターン高いが変動も大 |
| 国内株式 | TOPIX、日経平均 | 日本企業のみ |
| 8 資産均等型 | バランスファンド | 株 + 債券 + REIT を組合せ |
長期運用の王道は 「全世界株式」または「S&P500」を 1 本 で、それで 90% の人にとって十分という意見が多数派です。
代表的な低コストインデックスファンド(2026 年 4 月時点)
業界最低水準の信託報酬を目指して競争しているのが eMAXIS Slim シリーズ(三菱 UFJ アセットマネジメント)と 楽天プラスシリーズ(楽天投信)。代表的な選択肢:
| ファンド名 | 連動指数 | 信託報酬(年) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | S&P500 | 0.08140% 以下 | 純資産 6 兆 8,000 億円超、運用実績豊富 |
| eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | MSCI ACWI | 0.05775% 以下 | 通称「オルカン」。1 本で 47 カ国分散 |
| 楽天・プラス・S&P500 | S&P500 | 0.077% | 信託報酬最安水準 |
| 楽天・プラス・全米株式(VTI 連動) | CRSP US Total | 0.077% | 米国全約 4,000 社に分散 |
| つみたて iシェアーズ S&P500 | S&P500 | 約 0.06% | ブラックロック運用 |
数値は 2026 年 4 月時点。最新値は各ファンドの目論見書 / 月次レポートでご確認ください。
全世界株式 vs S&P500 — どちらを選ぶか
長期積立で最も悩ましい二択。結論はどちらでも大きな差はないが、考え方の違いを理解して選ぶのが大事です。
| 観点 | 全世界株式(オルカン等) | S&P500 |
|---|---|---|
| 分散度 | 47 カ国 | 米国のみ |
| 過去リターン | やや低め | やや高め |
| 米国一極集中リスク | 軽減される | 受ける |
| 米国減速リスク | 他国で補える | 直撃する |
| 米国優位継続なら | 全世界の中で米国比率 6 割なので恩恵 | フル恩恵 |
「米国の優位がいつまで続くか分からないから全世界」「米国は引き続き世界経済の中心と信じる」のどちらに賭けるかの問題です。1 本で完結させたいなら全世界、米国に強く張りたいなら S&P500 が王道。
つみたて投資枠で避けたい商品
- アクティブ型投信(信託報酬 1% 超): 長期ではインデックスに劣後する確率が高い
- テーマ型投信(AI、ESG、ロボット等): 流行り廃りでテーマローテーション、長期積立に不向き
- 8 資産均等型バランスファンド(信託報酬高め): 自分でアロケーション組めるならコスト的に不要
- 新興国単独ファンド: ボラティリティ高、つみたて枠で集中するのはリスク過大
関連リンク
- 新 NISA 完全ガイド(2026 年版) — 制度全体
- 新 NISA「成長投資枠」完全ガイド — 成長投資枠の使い方
- NISA でやってはいけないこと — 落とし穴の整理
- NISA × 配当再投資戦略 — 配当の自動再投資
- 運営者情報 / 広告ポリシー
外部参照:
- 金融庁 つみたて投資枠対象商品: https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
本記事は 2026 年 4 月時点の制度・商品情報を整理したもので、特定のファンドの購入を推奨するものではありません。信託報酬・純資産総額・運用方針は時期により変動するため、購入前に最新の目論見書・月次レポートで確認してください。投資判断はご自身の責任で行ってください。